「グッド・シェパード」という映画が公開されるらしい。監督はロバート・デ・ニーロで、製作総指揮はフランシス・フォード・コッポラ。ロードショーの始まるずいぶん前の時期に監督が来日してメディアに出ていたのだから、全国で公開されるのだろうし作品の規模は大きいのだろう。
デ・ニーロの映画なのだから、まずはやっぱりマーティン・スコセッシを思い浮かべてしまう。今年スコセッシは「ディパーテッド」でついにオスカーを獲った。「タクシードライバー」でも「レイジング・ブル」でも監督賞は獲れなかった。スコセッシの作品では僕は「エイジ・オブ・イノセンス」と「カジノ」が好きなのだけど、やっぱりそれでも縁がなかった。この2作品みたいに、一貫した様式美を描くのはスコセッシは隙がないくらい上手だと思う。その代わりに、ときには派手な暴力表現でさえも退屈と評されてしまうことになる。「カジノ」が公開されたときは、「グッドフェローズ2」の一言で片付けた映画誌もあった。僕なんかは、そこまで形が決まっているということならそれは逆に褒め言葉なんじゃないかと思ってしまうけど。そんなスコセッシが、初めてアカデミー賞を獲得した作品がリメイク作品というのは皮肉である。その「ディパーテッド」に出演していたマット・デイモンが、「グッド・シェパード」では主演にクレジットされている。そしてやっぱりジョー・ペシも出ている。
たしかシャロン・ストーンのイメージもあって華やかに「カジノ」が公開されていた頃に、もうひとつデ・ニーロが出演している小さな作品も公開されていた。「ブロンクス物語」。デ・ニーロが初めて監督した映画だった。デ・ニーロと同じくイタリアの血をひく、チャズ・パルミンテリの一人芝居を脚本化した一人の少年の成長のお話。イタリア系移民と黒人の対立や、少年がマフィアのボスに育てられる過程をデ・ニーロが静かに描いている。自ら少年の父親役として、バスの運転手役として出演しているデ・ニーロの眼差しは優しい。デ・ニーロの自伝的要素が詰まっている作品か、デ・ニーロが本当に撮りたかった作品のどちらかとしか思えなかった。以前デ・ニーロは、資金を集めるために出たくない映画にも出たことがある、と発言していた。「ブロンクス物語」を観て僕はデ・ニーロに興味を持った。この作品のために輝かしい役者としての実績を作ってきたのかもしれないと思った。デ・ニーロといえば徹底した役作りが有名だけど、そうすると一役者としての作品がまた違って見える。
1作目からずいぶん時間も経って制作費の桁も違いそうだけど、僕は「グッド・シェパード」を観に行ってみる。