2011 . 04 . 17

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パンの新作、ローズマリーのベーグルです。輪っかの形に生地を作り、茹でてからオーブンで焼き上げています。バゲットよりも、さらにもちっとした食感で作りました。ローズマリーの風味が全体に漂っています。単独でも十分に軽食となる、つい食べたくなってしまうような食事パンです。ぜひお試しください。現在はお食事のお客様と、ご予約での販売とさせていただいています

nana
 
 
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 en attendant ses pas

12月が近づいてくるとクリスマスも近くなってくる。クリスマスメニューを考えるのは楽しい作業だけど、考えすぎると決めるのが難しくなったりもする。
フランス料理というカテゴリーにこの季節だけ接する人もたくさんいるし、純粋にその年のメニューを楽しみにしていてくれる人もいる。食事時間なんて短いほうがいいと思っている人もいるだろうし、どこまでも美味しいものを食べていたい人もいると思うし、次の日になれば何も覚えていない人もきっといる。そういう緊張感に耐えられるメニューはそんなに簡単には決まらない。
そんなとき僕はとりあえず何でもいいから一つ何かを決めることから始める。当たり前のことを言うなと思われるかもしれないけど、それが出てくれば僕の場合はだいたい終わる。
例えばアラカルトで食事をするときにアペリティフでミュスカを出してもらったとしたら、生牡蠣よりはフレッシュの甘いフォワグラを選びたくなるし、そうすれば薄いトーストとかパンが必要になってくるし小さなドライフルーツが添えてあってもいい。ぜいたくに冷たいフォワグラを食べた後なら、フォワグラの脂に負けないような水っぽくない白ワインを挟むのもいいし、スープ料理を選ぶのもいいかもしれない。フォワグラの負荷をカロリー的に重く感じてしまっているなら、生クリームを使うポタージュよりもさらっとしたスープを飲むほうがいいと思うし、アラカルトの金額的に重く思うのなら魚料理まで飛び越えてしまったっていい。ブイヤベースのようにスープ仕立ての魚料理があったらそのほうが様になってしまったりする。ブイヤベースのジャンクな雰囲気を鹿とか仔羊で持ち直すのもいいし、鶏や兎で淡白に終わるのもいいかもしれない。鹿を食べるなら赤ワインまで開けたくなると思うし、鶏とか兎だったらブイヤベースのときに飲んでいた白ワインを使いまわすこともできる。その後なら僕だったら好きなチーズが食べられたら幸せだし、デザートは一緒にいるひとに選んでもらえればいい。
こういうロジックを作れたら楽だから、やっぱり何か受け身になれるものを一つ探してしまう。肉の種類でもいいし料理の色合いでもいいし食感のイメージでもいい。全然関係ないことでもよかったりする。僕がお客さんでも友達でも、何が食べたいですかとか、何飲む?とか訊いてしまうときはそんなニュアンスで受け身になっているときなのかもしれない。
ロジックを作れるとその反対のことをやってみたり試してみるときもある。でもクリスマスのレストランは気持ちがみんな高ぶっているから半端な遊び心は通用しない。繊細に一つ一つ組み立てていくほうがきっと楽しい。
クリスマスまであと1か月くらいになって、偶然に見かけたトリュフが香りも味もしっかりしていた。ある程度の量を買うこともできそうだった。いつもはあまり使わない食材だからかえって悩まなかった。今年のクリスマスメニューは小さな黒い球状の食材の香りを嗅ぎながら考えることになった。
フランスにはトリュフを使ったクラシックなソースがあって、そのソースの名前は一つの町の名前でもある。美食の町とも言われるから料理に携わる人間ならニースとかモナコよりも行きたい場所かもしれない。僕はその町にはその町でそのソースを食べてみたかったから行った。静かな町でレストランも少なかった。だけどマルシェの質の高さはフランスの中でも有数のものだった。フレッシュのフォワグラの周りに鴨のマグレが豪快に巻きつけられているものがあって見とれていたら、あっけなく試食させてもらった。見たことのない大きさのセップ茸が無造作に飾られていた。青空の下でそんなものを売っているのが当たり前なんて僕には思えない。長くいたいけどいないほうがいいのかもしれない町だった。マルシェのフロマージュリーで電車で食べるカベクーだけ買ってその町とはお別れした。
キャトルエピスを振ってマディラに漬け込んだトリュフの香りが漂うと、ソースペリグーに合わせる肉はシンプルに牛フィレがいいかなと思う。僕がペリグーで食べた料理もそうだった。厚い肉と華やかなソースがあって、じゃあその前の魚料理はどんな感じにしようかなって考えるけど、それはもうそんなに難しいことじゃないし、何回もそんなことを書いてもしょうがない。本当は食べるときにロジックなんて必要ない。何か一つでも心に残るようなものがあればうれしい。お食事を楽しんでくださいねとか、いいクリスマスをとか、そんな適当な言葉の中に僕らは気持ちを込めている。